「ゆうがた5」6/5(木)+α 藤田京子
- 2014.06.06
ということで、勢いで本日2本目の情報アップ!
昨日の「ゆうがた5」に+αしてまいります。
「ハートビート」ひとつめは 映画『グランド・ブダペスト・ホテル』
本日6月6日公開です。
ウェス・アンダーソン監督の世界観が好きな方なら、必見!
スクリーンの隅から隅まで細密画のように余白なしで色や形の情報がびっしり映し込まれ
1930年代のヨーロッパのクラシカルで優雅なセンスを徹底した美意識で創りこみつつも
細かいカット割りと弾丸ゼリフの応酬でジェットコースタードラマのように一気に進むおとぎ話。
豪勢なオールスターキャストですが、数少ない女優陣が印象に残ります。
あっぱれ!特殊メイクを施したティルダ・スウィントンの女優魂。
相変わらず天使なシアーシャ・ローナンの純粋無垢と勇気。
フランスの女優さんがメイドのコスプレするとなぜこんなにも小悪魔になれるのか?レア・セドゥ。
見どころ満載、満腹なれど細部が気になる!ということで、おそらくリピーター続出になるのでは???
「ハートビート」ふたつめは、六本木ヒルズの森美術館で開催中の『ゴー・ビトゥイーンズ展:子どもを通して見る世界』
異なる世界や文化をつなく“橋渡し役”として、また両者を自由に行き来する子どもの視線を
様々な角度からいろんな手法で再現した作品を集めた展覧会です。
おとなは誰もがかつて子どもでしたが、子どもの頃に考えたことや想像したことは、あまり記憶に残っていません。
それを再現することで、子どもの可能性を再認識したり、過去と現在の比較から子どもを取り巻く環境の変化に驚いたり。
地球の未来にまで思いを馳せるひとときになりました。
そして、同時に開催されている『MAMプロジェクト021:メルヴィン・モティ』
実はこちらに大きな興味を抱いて観に行ったのですが、「なーるほど!」な作品でした。
着物の江戸小紋柄から着想を得て、その染めの技法を使い制作した《クラスター錯覚》という絹の作品群。
てっきり、日本の伝統的技法とヨーロッパの美的感覚のコラボレーションなのだろうと想像していたのですが
そこにはアーティストからの意外な問いかけが含まれていました。
モティはオランダ出身のアーティストで、科学や歴史と視覚文化の関係について、立体・映像・インスタレーションなど
多様な表現で作品を発表しています。
今回の作品のサブタイトルは 「“見る”行為を問う―視覚は思考を超えられるか?」
モティの考えでは「ランダムに配置されたものから、人は法則を見出したくなる」つまり、
わたしが見た!と思っているものは、自分の思考から反映したただの錯覚・思いこみの可能性もある、ということ。
アーティストから「いったい、これは何に見えますか?」と提示された、答えのない試験のような気がしてきました。
ただ、それでも小紋の技法を取り入れて描かれた「雲の隙間から射す日の光」や「夜空の星座」にみえるものたちは
美しい作品であることに変わりはありません。
芸術を鑑賞することを通して、自己の内面を問われる。
やはりこれがコンテンポラリーアートのおもしろさだな~と、改めて感じるメルヴィン・モティの作品でした。
ちなみに担当キュレーターの方のお話では、モティは横浜トリエンナーレ2014にも出品予定とか。
今回のトリエンナーレはアーティスティックディレクターを森村泰昌が務めることでも話題です!
8月から開催の横浜トリエンナーレも、楽しみになってきました。
オトナの皆さまの自由時間をすごす参考になれば幸いです。